電力問題シリーズ?も最終段階に入ってきました。
前回、「総括原価方式」のお話に始まって、
電気料金の算出法について、もったいぶって「次回に」としておりました。
数少ないわたしのブログの読者の方々、お待たせしました。
本題です。
前回のわたしのつたない説明で
「総括原価方式」については だいたいご理解いただけたという前提で話をすすめてまいります。
ご存知の通り「総括原価方式」による算出方法は
報酬 = 原価 × 約3〜4%
原価 + 報酬 = 総収益(電気料金)
でしたが、実際の計算では会社の儲けである「報酬」の計算が違っています。
「約3〜4%」の報酬率はおなじですが、「原価」の部分が違っています。
通常「原価」というと
設備投資による建設費や設備の保守管理費、
石油などの燃料費、従業員給与
広告宣伝費など
電気事業にかかわるすべての費用がそれにあたります。
ところが、電気料金の総括原価方式での報酬の計算は
報酬 = 事業資産(レートベース) × 報酬率 となっており、
原価に替えて事業資産(レートベース)が報酬の基準になっています。
これに基づいてもう一度、電気料金の算出式を簡単に表すと
電気料金 = 原価 + 事業資産(レートベース) × 報酬率(約3〜4%)となり
これを「レートベースに基づく総括原価方式」と呼ぶのだそうです。
さてここで気になる「レートベース」とは一体なんでしょうか?
以下、経済産業省のウェブサイトから抜粋(一部省略)しました。
これを簡単に説明するのはなかなか厄介なのですが、
要するに電力会社が所有する資産の価値を具体的に金額で表したもので、
上記項目の総額 がレートベースとなります。
前回の記事でお話しましたようにこの計算方法だと、
資産が大きければ大きいほど報酬も大きくなることになります。
つまり電力会社は規模を拡大すればするほど 会社としても儲けが増えるということです。
もっと詳しくみていくと
事業資産(レートベース)には建設途中の資産も含まれ、保有する核燃料まで含まれます。
さらに驚くべきことに 使用済み核燃料もレートベースに含まれます。
このことから何が言えるかというと
電力会社は資産価値の低い火力発電所を建設保有するよりも
資産価値の高い原子力発電所を建設保有したほうが報酬(儲け)が増えるということで
さらに使用未使用に関わらず核燃料もレートベースに含まれるということは
原子力発電は稼働すればするほど核燃料の保有量が増えますから
またそれにともなって報酬(儲け)も増えることになります。
これについては東京電力のサイト資料が参考になります。
こちらにはっきりと書かれていますから、間違いないでしょう。
>> 東京電力PDFファイル 総原価算定の考え方 他
いかがでしょうか。これが真実です。
さて、わたしの言いたかったことはこれでだいたいはお話できましたが、
今回のタイトルは「 国と電力会社が原発を再稼動させたい本当の理由」でした。
電力会社が原発を再稼働させたい理由はわかりました。
ずばり、儲かるからです。
ではなぜ、国はこんなにも原発有利な政策をとっているのか疑問に思われるかもしれません。
このことについてはあくまでも憶測の域を出ませんが、
京都大学原子炉実験所の小出裕章助教授のお話に耳を疑いました。
小出助教のお話をわたしなりに要約すると
日本は建前上、核兵器を保有することはできないが、
技術的に大差のない原子力発電を維持していくことで
「核」の研究開発を途絶えさせないために
国は原発を推進する方向に電力会社を誘導している。(かもしれない)
もう一度言っておきますが、あくまでも憶測です。
恐ろしいことですが、わたしとしては納得のいく説明です。
これまでにお話した内容について非常にわかりやすい動画があります。
>> 数年前にTV放送された「モーニングバード そもそも総研たまペディア」
「最初からこの動画だけで十分だろ」と言われそうなくらい必見です。
いかがだったでしょうか?
来年2016年4月から電力自由化が始まると、
これまで地域独占であった電気事業も自由競争の波にさらされます。
そうなると当然のことながら総括原価方式も意味をなさなくなりそうです。
今後の成り行きを十分注意して見ていきましょう。
<参考記事>
47NEWS「原発の不都合な真実」
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前回、「総括原価方式」のお話に始まって、
電気料金の算出法について、もったいぶって「次回に」としておりました。
数少ないわたしのブログの読者の方々、お待たせしました。
本題です。
前回のわたしのつたない説明で
「総括原価方式」については だいたいご理解いただけたという前提で話をすすめてまいります。
ご存知の通り「総括原価方式」による算出方法は
報酬 = 原価 × 約3〜4%
原価 + 報酬 = 総収益(電気料金)
でしたが、実際の計算では会社の儲けである「報酬」の計算が違っています。
「約3〜4%」の報酬率はおなじですが、「原価」の部分が違っています。
通常「原価」というと
設備投資による建設費や設備の保守管理費、
石油などの燃料費、従業員給与
広告宣伝費など
電気事業にかかわるすべての費用がそれにあたります。
ところが、電気料金の総括原価方式での報酬の計算は
報酬 = 事業資産(レートベース) × 報酬率 となっており、
原価に替えて事業資産(レートベース)が報酬の基準になっています。
これに基づいてもう一度、電気料金の算出式を簡単に表すと
電気料金 = 原価 + 事業資産(レートベース) × 報酬率(約3〜4%)となり
これを「レートベースに基づく総括原価方式」と呼ぶのだそうです。
さてここで気になる「レートベース」とは一体なんでしょうか?
以下、経済産業省のウェブサイトから抜粋(一部省略)しました。
レートベース
1.特定固定資産:電気事業固定資産の事業年度における平均帳簿価額を基に算定した額
2.建設中の資産:建設仮勘定の事業年度における平均帳簿価額から建設中利子相当額
及び工事費負担金相当額を控除した額に100分の50を乗じて得た額
及び工事費負担金相当額を控除した額に100分の50を乗じて得た額
3.核燃料資産:核燃料の事業年度における平均帳簿価額を基に算定した額
4.特定投資:長期投資の事業年度における平均帳簿価額を基に算定した額
5.運転資本:営業資本及び貯蔵品を基に算定した額
6.繰延償却資産:繰延資産の事業年度における平均帳簿価額を基に算定した額
なのだそうです。
なのだそうです。
これを簡単に説明するのはなかなか厄介なのですが、
要するに電力会社が所有する資産の価値を具体的に金額で表したもので、
上記項目の総額 がレートベースとなります。
前回の記事でお話しましたようにこの計算方法だと、
資産が大きければ大きいほど報酬も大きくなることになります。
つまり電力会社は規模を拡大すればするほど 会社としても儲けが増えるということです。
もっと詳しくみていくと
事業資産(レートベース)には建設途中の資産も含まれ、保有する核燃料まで含まれます。
さらに驚くべきことに 使用済み核燃料もレートベースに含まれます。
このことから何が言えるかというと
電力会社は資産価値の低い火力発電所を建設保有するよりも
資産価値の高い原子力発電所を建設保有したほうが報酬(儲け)が増えるということで
さらに使用未使用に関わらず核燃料もレートベースに含まれるということは
原子力発電は稼働すればするほど核燃料の保有量が増えますから
またそれにともなって報酬(儲け)も増えることになります。
これについては東京電力のサイト資料が参考になります。
こちらにはっきりと書かれていますから、間違いないでしょう。
>> 東京電力PDFファイル 総原価算定の考え方 他
いかがでしょうか。これが真実です。
さて、わたしの言いたかったことはこれでだいたいはお話できましたが、
今回のタイトルは「 国と電力会社が原発を再稼動させたい本当の理由」でした。
電力会社が原発を再稼働させたい理由はわかりました。
ずばり、儲かるからです。
ではなぜ、国はこんなにも原発有利な政策をとっているのか疑問に思われるかもしれません。
このことについてはあくまでも憶測の域を出ませんが、
京都大学原子炉実験所の小出裕章助教授のお話に耳を疑いました。
小出助教のお話をわたしなりに要約すると
日本は建前上、核兵器を保有することはできないが、
技術的に大差のない原子力発電を維持していくことで
「核」の研究開発を途絶えさせないために
国は原発を推進する方向に電力会社を誘導している。(かもしれない)
もう一度言っておきますが、あくまでも憶測です。
恐ろしいことですが、わたしとしては納得のいく説明です。
これまでにお話した内容について非常にわかりやすい動画があります。
>> 数年前にTV放送された「モーニングバード そもそも総研たまペディア」
「最初からこの動画だけで十分だろ」と言われそうなくらい必見です。
いかがだったでしょうか?
来年2016年4月から電力自由化が始まると、
これまで地域独占であった電気事業も自由競争の波にさらされます。
そうなると当然のことながら総括原価方式も意味をなさなくなりそうです。
今後の成り行きを十分注意して見ていきましょう。
<参考記事>
47NEWS「原発の不都合な真実」
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